Cyborg

PoIC 関係の本を芋づる式に読んでいくと、どの本でも引用されている「原点」に達する。

- 「サイバネティックス 第二版」ノーバート・ウィーナー著

この本は、初版1962年(英語の原書は1948年)で、すでに絶版となっている。カイシャの図書館で見付けて斜め読みしたが、やはり手元に欲しい。近所の古書店を地道にまわってみるが、なかなか見つからない。ところが、インターネットで探してみると、これが結構見つかる。最近「日本の古本屋」経由でようやっと入手。

さて。

「サイバネティックス」という言葉は知らなくても、それを省略した「サイバー」や「サイ」が付く言葉はよく耳にする。サイバーパンク、サイバーネット、サイバーポリス。何となく近未来的な、手の届きそうで届かない感じがする。

しかし、ウィーナーによる本来の定義まで遡ると、そのような意味はない。

・・・それでわれわれは制御と通信理論の全領域を機械のことでも動物のことでも、ひっくるめて ‘サイバネティックス’(Cybernetics)という語でよぶことにしたのである。これは ‘舵手’ を意味するギリシャ語 κυβερνήτης からつくられた語である。

Ref. : @book, ウィーナー, サイバネティックス 第二版, 1962, pp. 14-15.

サイバネティクス = 船頭さん。
私の頭の中では、タオルで鉢巻きをしたおじいさんが浮かんできた。

サイバネティックスとは、要は、「フィードバック機能のあるシステム」のこと。船頭さんは、周りの風景を見ながら舵を操作する。目からの入力信号を脳で分析し、腕の力・舵のコントロールにフィードバックを掛ける。生命のしくみを理解するには、フィードバック機能を理解することが重要である、と。

そんなことを考えながら、野ざらし亭さんの Re:PoIC を読み返していると、次のような記述が。

PoICの4つのタグを,上記のように解釈する時,データウェアハウスとしてのPoICでの意思決定支援とは,現在の状況と長期記憶をワーキングメモリ上に選択的に読み込み,活用しながら,課題を遂行する,という前頭前野の機能を支援するということに他ならないのです。

Ref. : @web, 野ざらし亭, Re:PoIC 第7回

いまになって考えてみれば、野ざらし亭さんの指摘は、まさに PoIC = サイバネティックス ということ。野ざらし亭さんはウィーナーと同じことを言っている。「第四の脳」もこれに通じる。

さらに一歩進めてみよう。

ウィーナーの定義まで遡れば、フィードバック機能を持つ組織(自己組織化するもの、有機体)をサイボーグ(Cyborg = Cybernetic Organism)と呼ぶことができる。サイボーグという言葉を聞いて真っ先にイメージするような「近未来的な機械」という意味はまったくない。

PoIC 使いはすでに「サイボーグ」なのではないだろうか?

4 Responses to “Cyborg”

  1. k Says:

    m(. .)mブログのエントリー、興味深く読まさせて頂いています。
    いつも本当に凄いです。「格」があります。

    原著を、深め、遡り、原点に帰り、

    近未来的と思われる内容を、現状のレベルで捉える。

    勉強になりますm(. .)m

    ——————-

    野ざらし亭さんの言われていることも、確かにm(. .)mです。

    「サイボーグ」小学校の時に図書館で読んだ本では、近未来的なことが書いてあったそのつぎに、「ロボットとは違って、人に何かを付けたもの。メガネや入れ歯もサイボーグといえる」と書いてあって、ええー、、と思いました。

    ロボット(自動プログラム)とサイボーグ(人+α)で比較すると、

    野ざらし亭さんの言われる「現在の状況と長期記憶をワーキングメモリ上に選択的に読み込み,活用しながら,課題を遂行」、この部分は、確かに機械的に自動的には処理できない。

    (1)頭の中で、まだ完成していない未来のイメージを描きながら、

    (2)同時に、必要な物を選択する

    この過程には、頭とPoICの間の、瞬間的な合わせ鏡(再帰)と想発、これをイメージで選んでいく、これは例えば「顔のイメージの画像処理」にも似ている。

    (1)  頭 → PoIC   カードを選択

    (2)  頭 → 選択した物を見る
             イメージと比較

    PoIC(インデックスカードの束)の支援で、人が行う、人にしかできない作業
    ロボットではなく、サイボーグ

    そして、選んだカードで課題を遂行

    —————–
    > サイバネティクス = 船頭さん。
    > 私の頭の中では、タオルで鉢巻きをしたおじいさんが浮かんできた。

    「タオルで鉢巻き」m(. .)m

    未来のサイボーグ

    頭にタオル(脳波をはかる電極)を巻いて、あるいはキャップをかぶって、
    車を運転するタクシーのおじさん、おでんを作るおやじさん

    ブレードランナーに出てくる普通のおじさんたち、ただし頭にはかぶり物が。

  2. Hawk Says:

    >>k さん
    > 「ロボットとは違って、人に何かを付けたもの。メガネや入れ歯もサイボーグといえる」

    これは面白いですね。:)

    メガネや入れ歯は、人間の機能を強化してくれる。
    無生物なので、当然のことながら、自己修復機能はない。
    そのままでは自己組織化しない。

    しかし、メガネが壊れた時に、
    持ち主が気を使い、労力を使い(メガネ屋さんに出向き)、お金を使う(修理代を払う)ことで、
    メガネは自己修復機能を「獲得する」。

    このとき、無生物は生物になり、メガネ使いは Cyborg になる。

    生物・無生物、主・従の「持ちつ持たれつ」の関係、
    互いに機能を補い合う相補関係。

  3. Hawk Says:

    相手が再帰的だと親和性が高くなる?

    例)Lisp → 人工知能

  4. k Says:

    m(. .)m

    >生物・無生物、主・従の「持ちつ持たれつ」の関係、

    視点が面白いですm(. .)m私だと思いつけない発想です

    前ブログで言われていた、PoICから見た宿主の視点、

    目玉ちゃんからの視点、

    遺伝子と宿主の関係

    ———–

    > 「ロボットとは違って、人に何かを付けたもの。メガネや入れ歯もサイボーグといえる」

    これは、多分子供向けの「なぜなに百科」みたいな本の、ロボットとサイボーグの違いのページに書いてあったです

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