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ここでは、PoIC をより楽しく・長く続けるための二つの道具を紹介します。

コクヨ 測量野帳

コクヨの測量野帳。ゴムバンドを付けるだけで格段に使いやすくなる(改造の方法)。

測量野帳(field notes、以下、簡単のため「野帳」)は、測量技師や研究者が野外で使うノートです。立ったままでもメモが取れるよう、表紙が堅いのが特長です。

知的生産の技術」(1969) の梅棹忠夫氏と「発想法」(1967) の川喜田二郎氏は、ともに野外科学者(フィールド・サイエンティスト)です。彼らの本を読むと、野外での研究活動の中で、実際にこの種の野帳を使っていたようです。

日本最大の文房具メーカーであるコクヨは、スケッチブック(3 mm 方眼)、レベルブック(測量用)、トランジット(これも測量用)の3種類の野帳を販売しています。コクヨの野帳はとてもシンプルで、飽きのこないデザインです。

私は仕事での記録に野帳を使っています。この実経験を通じて、野帳は、なにも仕事にだけではなく、個人の生活におけるアイディア捕獲にも使えることに気付きました。

3種類ある野帳の中で、私はスケッチブックを使っています。

左上の写真に示したように、私は自分で野帳にゴムバンドを付けて使っています。野帳の厚さは 8 mm ですが、表紙の左右両端をグッと押すと背表紙が 1 cm ぐらいまで広がります。ページの間にシャープペンシルを挟み、ゴムバンドでパチンとくくっておきます。こうすると、シャープペンシルがちょうどしおり代わりになって、書き込むページをすぐ開けるようになります。

なぜ野帳を使うの?

コクヨ測量野帳(セ-Y3)。厚さ8 mm、80 ページ、80 g、3 mm 方眼。

世の中にはいろいろな種類のメモ帳が存在します。その中で、あえて野帳を選ぶのはなぜでしょうか?

  • 頑丈さ:野帳は、もともと野外で使うことを前提に作られています。表紙が十分堅いので、どんな体勢でもメモを取ることができます。アイディアは、電車の中、暗闇の中など、時と場所を選ばずに浮かんできます。カードを使っていると、いろいろな場面で、カードを書けない・書きづらいという場面に遭遇します。このような状況でアイディアを捕獲するメディアとして、野帳は最適です。
  • 手頃な値段:コクヨの野帳は180円という手頃な値段にも関わらず、その品質は最高級です。私は野帳をコンピューターで言うところの「仮想メモリ」のように、一時的な記憶媒体として使っています。憶えておくべきこと、小さなアイディアをどんどん書き込みます。大切なのは、高級な手帳によいアイディアだけを書くことではありません。むしろ、手頃な手帳にどんなちっぽけなアイディアでもすべて記録する習慣です。野帳の手頃な値段は、「何を書いてもよい」という気持ちにしてくれます。穴を開けたり、ゴムバンドを付けたりと、気軽に改造できるのも、この手頃な値段のおかげです。

Hipster PDA は使わないの?

GTD 系人気ブログ「43 Folders」の Merlin Mann 氏は、情報カードをクリップで留めたものを 「Hipster PDA」 として紹介しています。"Hipster" とは、「先進的な」(もっとくだけて言えば「イケてる!」) という意味です。名前の巧妙さと手軽さから、人気を博しました。

PoIC では Hipster PDA ではなく野帳を使います。PoIC は情報カードを使ったシステムですから、「同じ情報カードを使うのに Hipster PDA は使わないの?」という質問はとても自然です。実際、私は野帳を使いはじめる前に Hipster PDA を使ってみたことがあります。しかし、しばらくして気付いたのは、PoIC と Hipster PDA の間にはまったく互換性がないということでした。

Hipster PDA は、

  • 情報カードを縦向きに使う:これは、カードをドックに保存する時に問題になります。また、縦向きに使うと、横幅が狭過ぎて PoIC のカードの書き方(PoIC 規格)には不向きです。逆に、Hipster PDA を横向きに使うのは、手にフィットしないのでとても書きづらい。
  • きれいな字が書けない:小さいカードを手に持った状態では、ペンを持つ手が安定しません。この状態できれいな字を書くのは困難です。PoIC において、カードはデータベースを構成するデータとなります。視認性を考えて、カードはなるべくきれいな字で書いておきたい。
  • 散逸しやすい:Hipster PDA は、クリップが外れると、すぐにバラバラになってしまいます。また、小さいのでシャツのポケットにスッポリ収まってしまい、その存在をすぐに忘れてしまいます。私は、Hipster PDA をワイシャツのポケットに入れたまま洗濯してしまったこともあります。PoIC のカードは使い捨てではありません。

実際に試してみるとすぐ分かるように、PoIC と Hipster PDA を一緒に使おうとすると、様々なジレンマに直面します。逆説的ではありますが、PoIC にはカードを使う Hipster PDA よりも、むしろ野帳の方が適しているという結論に至りました。

野帳はどんな体勢でも書くことができます。一時的な記憶媒体として使うため、最初からきれいな字で書く必要はありません。一冊綴じなので、散逸してしまうこともありません。ある程度大きさがあるので、身に付けている時に存在感があります。それでいて軽く、落としても壊れません。

野帳とカードの連携については、「仮想メモリとしての野帳」の項で詳しく見ることにします。

モレスキン メモポケット(icPod)

モレスキンのメモポケットを改造した icPod(改造の手順)。

情報カードの持ち運びには、モレスキンの「メモポケット」を使います。

PoIC では GTD だけでなく、記録・発見・参照も取り込みます。そのため、一日に書くカードが、多い時には30枚を超えることもあります。そこで、iPod のような「持ち運びのできるハードディスク」が必要となります。

メモポケットの改造

メモポケットで 5x3 カードを持ち歩くというアイディアは、Emory 氏によるものです。

しかし、買ったままの状態では、ポケットが 5x3 サイズにぴったりすぎて、カードの出し入れに不便です。また、ポケットが深過ぎるので、中にどういうカードが入っているか見えません。これらの諸問題を解決するために、メモポケットを次のように改造します(改造の手順)。

  1. ポケットのアコーディオンを、谷折りから山折りにする。
  2. ポケットを、高さの半分だけ切り取ってしまう。
  3. 各ポケットに「見出しカード」を入れる。

メモポケットには6つのポケットがあります。見出しカードは、奥の方から5つのポケットに月曜日〜金曜日、一番手前のポケットに Someday/Maybe と Next Action を入れます。書いたカードは、見出しカードの手前に入れていきます。こうして最新のカードの上部が目に入るようになります。

ドックとポッド

PoIC ではカードを入れる箱のことを「ドック」と呼んでいますから、持ち運び用のメモポケットを「ポッド」と呼ぶのは、私にとって自然な成り行きでした。Apple の携帯音楽プレイヤー iPod のコンセプトである「1000曲の音楽をポケットに」や、SF に出てくるポッドと呼ばれる小さな宇宙船にも似ています。そこで、情報カード(Index Cards)用のポッド(Pod)ということで、固有名詞としては「icPod」と名付けました。

ドックの手前に icPod を置くと、その象徴的な意味がよく理解できます。据え置き型のドックと、持ち運び型のポッド。ドックの奥の方から手前のポッドに向かって、過去から現在に、時間軸が一直線に伸びているのが分かります。

どんなカードが入ってるの?

icPod は、開いて机の上に置いておきます。書き込んだカードは、仕事・生活の区別なく icPod に放り込んでいきます。帰宅する時に、そのままパチンと閉じて鞄に入れ、自宅に持ち帰ります。週末に icPod の中の一週間分のカードを「ブラウジング(拾い読み)」してから、ドックに格納します。

icPod には、計100枚程度の情報カードが入ります。私は屋外でのアイディア捕獲には主に野帳を使っているので、icPod にはすでに書いたカードだけが入っています。屋外でもカードを書ける環境にいることが多いのであれば、icPod に(何も書かれていない)白紙のカードも一緒に入れて持ち歩きます。