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再帰する情報 - PoICと時間・空間 - Ver.1.1

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Contents

はじめに

はじめまして、3代目 PoIC の中の人 Kf と申します。2009年3月頃から、Hawk 氏のブログ[1]にて議論を進めてきました。このマニュアルは、Hawk 氏のブログで学んだ、”遊び” の記録です。

ここでは、単なるレポート的なデータを、電話帳のような数字の羅列のリストである、「調査結果」のような報告書として「まとめる」のではなく、「せっかく手元にあるデータ」(まだエントロピーが高い状態)を、もとにして、科学的な楽しさをもった(合わせ鏡を内包した)内容に、変化(相転移)させてゆく方法を、マニュアル化しようと試みます。

この方法は、Hawk 氏のブログ[2]で学んだことを、現在進行中である「書き物」に反映させたことにより、これまでとは違った内容に仕上がった(仕上がりつつある)ことが元になっています。このプロセスは、1回性のものではなく、マニュアル化出来るのではないか、と考えられ(思われ)、これを還元出来ないかと思いました。

PoIC で科学する

ここで言う「科学的」という言葉の中には、科学のもつワクワク感を含めています。

科学の道具

マンデルブロ集合。

物事をまとめてゆく過程で、PoIC は上述の「科学」「科学的」の道具となるようです。これにより、下記のような分野・事項がもつ「合わせ鏡」を、目的とする創作中の文章・レポート・報告書に含ませます。

上述で、「合わせ鏡を内包することにより、科学的になる。」旨を書きましたが、これはとても主観的な考え方、一方的な書き方です。むしろ、「合わせ鏡を内包することにより、科学的になるのか?」です。

その答えとして、合わせ鏡の簡単な例、「マンデルブロ集合」[3]が挙げられます。この図を見て、「科学的」なワクワク感、が無いでしょうか。なにか得体の知れない世界、手塚治虫の「火の鳥」のような世界観が現れるように思われます。

合わせ鏡の中には、無限の深さが生じます。その他、SFの世界では、「2001: A Space Odyssey」に登場する「モノリス」の描かれ方が、合わせ鏡およびそれによる発展(創発と相転移)を思わせます。

フラクタルの世界、モノリスの世界、遺伝子の世界などに見られる「再帰」の中には、無限に奥深いと思わせられるような「世界」があります。このような「再帰の世界」を、自分で創りたい、と思いました。それを創れること、は、すなわち、「科学」を創ることが出来ること(ではないか)、と、Hawk氏のブログの世界で思わされました。

「まず結果を求めてはいけない。まず科学を求めるべきなのだ。」[4]

ここで「科学」する具体的な方法は、次の2つのステップにまとめられます。

  • a:プロトタイプを作成する
  • b:再帰的なサイクルに入る

具体的な方法に進む前に、「再帰」の概要(overview)を観てみましょう。

再帰(Recursion)とは

セルオートマトン。単純なルールの再帰的繰り返しから複雑なパターンが生まれる。

再帰 [5](的な構造)は、合わせ鏡、遺伝子、フラクタル、セルオートマトンの振る舞い、自己認識、LISP、数式処理ソフト等の中にあらわれます。

この「再帰」構造を、自分の目的とする創造物の中に含ませ、さらに「目的とする創造物」の創造プロセスを、「再帰的」な方法で行います。すなわち、「再帰的なプロセス」により、「再帰構造を持つ物」を創造することを目標とします。

論文とは「仮説の検証である」と、大学時代に教えられました。では、「仮説を検証」すれば、なんでも論文になるのでしょうか。そうではない例は、たくさんあるように思います。

ここでいう「仮説」という単語で現される概念は、どのようなものでしょうか。その一つとして、プロトタイプ(モデル、模型)から考えてみようと思います。さて、単なる情報の羅列(調査結果)は、その数字の因果関係、つまり

     ○ → □

の、何が ○ で、何が □ か、を、○ の粒子(つぶつぶ)の視点から、モデルを作ることにより、「科学論文」になります。その出来上がった(仮想の)「科学論文」には、モデル(図や式)があり、現象を説明(きっちりではなく、程度の誤差・ばらつきは大いにあっても)しようという、「意識」があるのです。

その「科学論文」の述べようとすることは、1回性の「クイズの答え」ではありません。この「科学論文」は、いろんな数字や仮定を当てはめたとき(入力)、入力の値ごとに、異なった答え(出力)を出す、のです。

     (入力) →  □  →  (出力)

それは、関数、等式、数式の作用と同じです。

     x → [ f(  ) ] → f( x )

その「科学論文」が、「関数・数式・等式と同じ作用をもつ」ということは、あらゆる物理や自然の法則(例.F=ma)と同じような性質・機能をもつ、ということではないでしょうか。

それを見る(読む)人と、再帰的な(鏡の)関係をもつペーパー。逆にモデル(あるいは式)があれば、目の前の文章は「科学論文」となります。モデルの絵や数式などがあり、周りの文章は、その背景や設定条件、そこに至ったまでの過程などを記述・説明する文です。すなわち、

     最初に「プロトタイプ」の絵(○△□)があり、
             ↓
     その「プロトタイプ」をあらわすモデル(フロー図・回路図や式)があり、
             ↓
     それらの説明(マニュアルのようなもの)が回りに付着しています。

粒の相互作用から、現象を説明しよう、という科学の方法論は、まだ始まったばかりなのです。[6] それは古典的・機械論的な物理現象を説明し、非定常の自然現象をも説明しようと進んでいます。(面白いですね)

コラム

プロトタイプを作成する

プロトタイプ(模型)をつくる

ここでは、最初の絵を、プロトタイプ(模型)[7][8]と呼びます。プロトタイプは、例えば、簡単な「 ○ 」「 △ 」「 □ 」や「 - 」「 → 」の組み合わせなどで現します。

     再帰的な絵[9] ・・・合わせ鏡     ○→ ←□

                フィードバック  もどってくる

                A→B、 B→A ゲームの理論

お互いに関連がある場合、そこにはそれぞれのセルの動き・働きや、セルとセルの相互作用があります。

(例)

          ○    □


          ○)) ((□

セル個々の動き・振る舞いや、セル同士の相互作用を、あらわす絵を描きます[10]。この絵が、これから創ろうとするもののプロトタイプとなります。○や□は、セル(細胞)です。パックマン[11]のように、「食べたり」、「お腹がふくれたり」、「動いたり」、「ぶつかったり」します。

プロトタイプをいじる

プロトタイプは、いじることにより理解されます。それは例えばF=maのように。

        (レゴブロックのように)

        (押したり引いたりつなげたり)

        (変数を変えたり、)

プロトタイプのいじり方

        例)○と□の間を矢印でつないだり、消したり (消しゴム+鉛筆)

          進んできたら、適当な数字を入れて、紙と電卓で (ガジェット(k)

現実のデータと同一の平面(空間)にプロット ・・・仮説の検証

モデルは粘土細工のように変形出来る(!)

・・・仮説への詳細な検証 (再帰のサイクルに入る)

コラム

再帰的なサイクルに入る

再帰の開始方法

再帰的なサイクルは、遺伝子から始まります。ここでの遺伝子は、プロトタイプです。例えば、セルオートマトン[12]の場合、最上部の線(模様)が決まれば、次々と線が続き、模様が出来ます。

個人的には、Hawk 氏のブログで、最初にエントリー・図・絵・写真が提示される → そこにコメントが延々と続く、という現象があります。これは、最初のエントリー・図等が、単なる写真ではなく、そこにさまざまな情報、特に再帰的な内容が込められているから、です。ではどうしてそのエントリー・図表等に魂(遺伝子)が込められたのか、そのプロセスの最初は、「創発と相転移の小ループ」[13](エンジンにたとえると点火と爆発)があったから、です。

では、「自分の」創ったプロトタイプは? これは、「自分の」創発と相転移の結晶です。プロトタイプと「私」が「作用」することで、再帰的なサイクルが始まります。この「作用」は2種類の結果を生みます。すなわち 1. プロトタイプへの再反射、2. 外部への反射です。

  1. プロトタイプへの再反射:プロトタイプを「私」が見て、「私」がプロトタイプを書き換え(部分的または全体を変更・修正、書き足し、消して書き直し)ます。
  2. 外部への反射:プロトタイプを見て「私」が思うこと(イメージ、文章、計算するなど)を、「私」がプロトタイプ以外の媒体(紙、別のカード、タイプライター、ワープロ、プリンタへ印刷)に書き出し(描きしるし)ます。
  3. 再帰的な反射

「1. プロトタイプ」または「2. 外部の媒体」を「私」が見て、「1」または「2」へ再反射します。この「3」の実質的な内容は「1 or 2」です。以降「3」が繰り返します。すなわち「再帰的なサイクル」がスタートします。

没頭する

再帰的なサイクルが始まれば、すなわち「1% のひらめきを具現化するための、99% の努力」が自ずと続きます。そして反映が始まります。自分自身との再帰により形になり、これを提出先(上司、学会誌編集部等)へ提出することにより、提出先との再帰(疑問への答え)を記述(または再実験等)し、この結果、最初のプロトタイプ(かりそめの結論)は 1. 当初想定した形で、あるいは 2. 当初想定した形から変容して、結実します(実がなります)。  

コラム

遠くへ(伝播と再帰)

伝播

「PoIC の時空の輪」[14]について考えると、情報と時間・空間の関係について、考えさせられることが多いです。軽くなって、遠くへ伝わる。情報には、そういう性質があるように思われます。

再び再帰 

  • 情報の影響の大きさ

「PoICの時空の輪」を見たあと、「情報」が、未来に影響を与え得ることを知りました。

 未来A → A'に変える。

ある意味「当たり前」、いつも起こっており誰でも知っていること、しかし、「情報」は物理的な因子を一切持たないため、不思議な気がしました。古典的な物理では、未来は「機械的・確定的」、量子論では、「確率的」です。

PoIC への情報の蓄積の過程を、「時空のモデル」とみなし、ここから情報の作用を考えると、「情報が脳と作用(共鳴)、増幅して、未来を変え得る(あるいは不確定な未来の状態を、ある方向に、確定する確率を高め得る)」。その情報の性質について、よりエントロピーの小さい情報の方が、再帰(合わせ鏡)的な影響(インパクト)が大きいように思われます。その広がる範囲、過去から帰ってくるまでの時間の範囲、そして与える影響。例えば、論文、法則、概念、音楽。

  • 空間軸上の移動:本やペーパー(紙媒体)は実体を持ちますが、その「情報」そのものは、重さも、長さも、ありません。空間的には、紙から人の頭の中へ、そして・・・一部は、初めとは少し違った形にねじれて、もとのところへ返ってくる。
  • 時間軸上の移動:時空間の連続について、その微小な変化を、粒のようなものとしてみると、電磁波の伝わり(電場が磁場を、磁場が電場を、関数型のように、同時に生成する)、

    (A B) → (B A) → (A B)→ (B A) → ・ ・ ・

(※但し古典的な説明では、手続き型のように、A → B → A → B ・・・ と説明されていることが多いです。) )にみられるように、2つのプロセスが、同時に生ずることで、次がつながっていきます。

今の時間(時空間)は、次の瞬間には、「情報」(長さ、重さ、運動量など物理的な因子を一切持たない)になる。その「情報」は、落ち葉が積もるように、あるいはドックの中のカードのように、最新情報から、古い情報になってゆく。「今」の情報は、手を離れると、過去へ過去へと移動していく。

そして、その一部は、頭の中、あるいは机の上で、机の上に広がったトランプを揃えるようにすると、初めとは少し違った形にねじれて、現在に返ってくる。

未来の状態は、全て過去の状態から、決定論的に決まってしまうのか。それとも、過去の情報が、未来を変えることができるのか。前者であれば、時間の流れと、それにともなう状態の変化は、とても機械的で、消極的です。しかし、後者であれば、意識により、より積極的に、働きかけようと考えることができます。

一見遠回りな、PoIC の方法論により、自分の「再帰・創発・相転移」(この「カードの内容」は自分にとって、もっとも興味深いことのはず)をもって、未来の状態を、積極的に変化させてゆくことが出来るとしたら。普通の考え方では、直近の過去の「情報」は、直前の未来の「時空間」(状態)に影響を与える。

しかし、遠くの過去の「情報」が、その数が蓄積し、粒が揃ったときに、遠くの未来の状態に影響を与え得る、このような時間の流れのとらえ方、時空間と自分の関係への見方は、とても興味深く、楽しいことであると思います。

コラム

おわりに

このマニュアルについて

「PoICマニュアル」を陽、「Pile of the Index Cards」を陰、また「Pile of the Index Cards」のエントリーを陽、同コメント欄を陰という2重の構造に例えると、2重構造の末端でコメントさせていただいていたところ陰が集まり(LISPプログラミングでいう暴走?止まらない)、Hawk氏の金星(モノリス)の指す方向へ引かれ、移動した、という流れのように思いますm(. .)m。発散の世界から、収縮の世界へ。

謝辞

このマニュアルは、Hawk氏によるPoICマニュアル、およびHawk氏のブログ「Pile of Index Cards - as a cultural genetic code -」に大きなインスピレーションを受けて記述されています。ここに謝意を表します。

参考資料

  • PoICマニュアル[15]
  • Pile of Index Cards [16]
  • 梅棹忠夫(1969):知的生産の技術
  • 緒方富雄(1958):医学論文を書く人のために
  • Stephen Wolfram:A NEW KIND OF SCIENCE